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须田刚一 杀手7 新连载小说2

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#2:kills 6th
オレは六日後に死ぬ──。
 名はシゲキ・バーキンだ。希望を失った意味のことわざを知っているか? [バーキンはクソ]ってコトだ。
 これでも裏の世界じゃ、安打製造機(バットマン)と呼ばれている。
 勘違いするな、あの子ども向けテレビドラマの蝙蝠男(ダークヒーロー)の事じゃねェ。本物(モノホン)のバットだ。これがオレの仕事道具。プロの強打者(スラッガー)と同じ手入れをして、毎日の打席に魂を吹き込む。連中(スラッガー)の相手は名投手(エース)だが、こっちの相手は糞頭(デス)だ。連中(スラッガー)はピンポン玉のように軽々と場外超え(ホームラン)をするが、こっちは柘榴(ボーンヘッド)を木っ端微塵に粉砕して、実(ミソ)があるってもんだ。
 だが、昨夜の実(ミソ)は独特(ブキミ)だった。あの光景は、二度と思い出したくない。最悪の夜に、最悪の奴(クソ)に会っちまった。
-----
7月2日 11:00am
シゲキ・バーキンのアパートメントにて。
サマヨル:的確に狙ってください
サマヨル:そうではないと 貴方(バットマン)に頼んだ意味はないのですから…
 建設現場にこの男は居た。パイプ椅子に座った身体は小さく、細く痩せた顔は鬼気を帯びている。名は、サマヨルとだけ告げた。
サマヨル:顔が判別できないよう 吹き飛ばしてください
最高の直撃(ジャストミート)を私に与えてください
 サマヨルの周辺には、無数の骸が転がっている。皆、笑って死んでいる。自信はないが東洋人の顔に見える。どの骸もだ。ある種この仕事には、異常(ワーク)な山と、威常(シュート)な山がある。完璧、威常(シュート)の感覚だ。威常(シュート)の場合、ただ単に命(タマ)が危険に曝されるだけじゃない。念のような強く深く重い鉛を背負う破目になっちまう。永い時間を使ってジワジワと心を追い込み、魂を喰って人を殺る、ヤバイ鉛だ。
 逃げてェ。けど、逃げられねェ理由(ワケ)がある。
バーキン:ここで アンタを打(ト)ればいいのか?
サマヨル:そうです
バーキン:なら簡単な仕事(ミート)だ目を閉じろ
サマヨル:わかりました
彼らを身元抹消(ノック)してからお願いします
バーキン:彼ら? こいつらか?
サマヨル:はい
バーキン:身元抹消(ノック)の意味がわからねぇな
面倒な細工は単価の割りに合わねぇから
先にアンタを身元抹消(ノック)してやるよ
サマヨル:約束(ブック)が異なると
楽園(グリーンランド)が待ってますお望みならば…
 そんな理由(ワケ)で、オレは片っ端から身元抹消(ノック)した。
 骸は、100を超えていたようないないような、あれだけの過酷な強化特訓(キャンプ)は初体験(ヴァージン)の気持ちを連想させる。意識がココになくて、鼓動がバクつき、無駄に体中が火照って、こんな新鮮なドキドキ感覚はめったに巡ってこない。ちょっとした恋愛症状に近い、そんな強化特訓(キャンプ)だった、本当(マジ)な話。つまりは、朱(ブラッド)の世界(ルーム)で、舞踊(トリップ)しちまった、年甲斐にも無く。時間の感覚など、すでに失せてる。肉体と感覚があまりに直結したからか、朱(ブラッド)の色だけが鮮明に目に映り視覚全体を覆った。網膜にピックが突き刺さった時の、そんな時の感覚に近い。存在を色で区分けしない空間は、とても誠実で平等だとは思わないか? 全部、朱(ブラッド)だったら、人と人の違いが薄れて、人同士が諍いを起す理由も減る。名案だろ? 世界を、朱(アカル)くしよう。血(ラブ)に染めた世界で、人と人は自由に自在に理解し合えるぜ。皆が立ち上がればきっとそれは力となり、運動はやがて革命になる。
 境界線(ボーダー)を破壊するんだ!
 そして、世界を朱(アカル)くして、光を照らそう!
 色に関係なく、殺り合おうぜ!
 キャッチフレーズが決まったところで、身元抹消(ノック)の動き(テンポ)がよくなり、正気に戻ったら綺麗に抹消完了(デリート)していた。
サマヨル:お見事です
バーキン:いい試合(スコア)だったろ?
サマヨル:最前列の特等席(VIPシート)で観戦できました
バーキン:仕事(ミート)するか?
サマヨル:ええ 最高の試合(グッドジョブ)の思い出に
場外へ特大の直撃(ホームラン)をお願いします
バーキン:一つ聞かせてくれ
サマヨル:質問は約束違反ですよ
バーキン:それでもだ
サマヨル:いいですよ
バーキン:この骸(クソ)は何だ?
サマヨル:答えを知らされていない質問です
バーキン:じゃあ、聞き方を変えよう
骸の身元抹消(ノック)したって事は照合に危険が孕む
危険の正体は?
サマヨル:答えがあると思いますか?
バーキン:質問してるのは こっちだアンタの番じゃない
サマヨル:答えが分かっていますね?
バーキン:だからよ 質問すんな
サマヨル:自分に自信がありますね?
バーキン:質問するなって云ってんだ!
サマヨル:怖いでしょ? ココが
バーキン:黙れ
サマヨル:じゃあ 教えてあげます
バーキン:云え
サマヨル:貴方の回答は間違っています
バーキン:止めろ
サマヨル:残念です答えは教えません
バーキン:オマエ 誰だ?
サマヨル:サマヨルです
バーキン:だから 何者だ?
サマヨル:今度は私の質問の番です
バーキン:答えろ! 何者だ?
サマヨル:どうして バットマンになりたいのですか?
バーキン:え?
サマヨル:銃を使わない理由を答えてください
バーキン:バットが一番使いやすい
サマヨル:銃の方が簡単に仕事できます
バーキン:人それぞれだ
サマヨル:違いますバットマンになった理由があります
バーキン:理由など無いバットの魅力だ
サマヨル:貴方はバットマンに憧れていた
本当はヒーローになりたかった
しかし 現実の自分の姿を本質的に知ってしまった
人より賢い貴方は 早熟期に世界を見渡すことができました
そのために 新しいバットマンを作り出すことしかできなかった
バーキン:オマエ 誰なんだ?
サマヨル:同士です
バーキン:ナメてんのか?
サマヨル:早く打ってください
バーキン:もういい…
サマヨル:楽園(グリーンランド)で待っています
 美しい打球(ホームラン)だ。
-----
7月2日 2:30am
ホラインズン・タワー建築現場にて。
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#2:kills 6th
オレは六日後に死ぬ──。
 名はシゲキ・バーキンだ。希望を失った意味のことわざを知っているか? [バーキンはクソ]ってコトだ。
 これでも裏の世界じゃ、安打製造機(バットマン)と呼ばれている。
 勘違いするな、あの子ども向けテレビドラマの蝙蝠男(ダークヒーロー)の事じゃねェ。本物(モノホン)のバットだ。これがオレの仕事道具。プロの強打者(スラッガー)と同じ手入れをして、毎日の打席に魂を吹き込む。連中(スラッガー)の相手は名投手(エース)だが、こっちの相手は糞頭(デス)だ。連中(スラッガー)はピンポン玉のように軽々と場外超え(ホームラン)をするが、こっちは柘榴(ボーンヘッド)を木っ端微塵に粉砕して、実(ミソ)があるってもんだ。
 だが、昨夜の実(ミソ)は独特(ブキミ)だった。あの光景は、二度と思い出したくない。最悪の夜に、最悪の奴(クソ)に会っちまった。
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7月2日 11:00am
シゲキ・バーキンのアパートメントにて。
サマヨル:的確に狙ってください
サマヨル:そうではないと 貴方(バットマン)に頼んだ意味はないのですから…
 建設現場にこの男は居た。パイプ椅子に座った身体は小さく、細く痩せた顔は鬼気を帯びている。名は、サマヨルとだけ告げた。
サマヨル:顔が判別できないよう 吹き飛ばしてください
最高の直撃(ジャストミート)を私に与えてください
 サマヨルの周辺には、無数の骸が転がっている。皆、笑って死んでいる。自信はないが東洋人の顔に見える。どの骸もだ。ある種この仕事には、異常(ワーク)な山と、威常(シュート)な山がある。完璧、威常(シュート)の感覚だ。威常(シュート)の場合、ただ単に命(タマ)が危険に曝されるだけじゃない。念のような強く深く重い鉛を背負う破目になっちまう。永い時間を使ってジワジワと心を追い込み、魂を喰って人を殺る、ヤバイ鉛だ。
 逃げてェ。けど、逃げられねェ理由(ワケ)がある。
バーキン:ここで アンタを打(ト)ればいいのか?
サマヨル:そうです
バーキン:なら簡単な仕事(ミート)だ目を閉じろ
サマヨル:わかりました
彼らを身元抹消(ノック)してからお願いします
バーキン:彼ら? こいつらか?
サマヨル:はい
バーキン:身元抹消(ノック)の意味がわからねぇな
面倒な細工は単価の割りに合わねぇから
先にアンタを身元抹消(ノック)してやるよ
サマヨル:約束(ブック)が異なると
楽園(グリーンランド)が待ってますお望みならば…
 そんな理由(ワケ)で、オレは片っ端から身元抹消(ノック)した。
 骸は、100を超えていたようないないような、あれだけの過酷な強化特訓(キャンプ)は初体験(ヴァージン)の気持ちを連想させる。意識がココになくて、鼓動がバクつき、無駄に体中が火照って、こんな新鮮なドキドキ感覚はめったに巡ってこない。ちょっとした恋愛症状に近い、そんな強化特訓(キャンプ)だった、本当(マジ)な話。つまりは、朱(ブラッド)の世界(ルーム)で、舞踊(トリップ)しちまった、年甲斐にも無く。時間の感覚など、すでに失せてる。肉体と感覚があまりに直結したからか、朱(ブラッド)の色だけが鮮明に目に映り視覚全体を覆った。網膜にピックが突き刺さった時の、そんな時の感覚に近い。存在を色で区分けしない空間は、とても誠実で平等だとは思わないか? 全部、朱(ブラッド)だったら、人と人の違いが薄れて、人同士が諍いを起す理由も減る。名案だろ? 世界を、朱(アカル)くしよう。血(ラブ)に染めた世界で、人と人は自由に自在に理解し合えるぜ。皆が立ち上がればきっとそれは力となり、運動はやがて革命になる。
 境界線(ボーダー)を破壊するんだ!
 そして、世界を朱(アカル)くして、光を照らそう!
 色に関係なく、殺り合おうぜ!
 キャッチフレーズが決まったところで、身元抹消(ノック)の動き(テンポ)がよくなり、正気に戻ったら綺麗に抹消完了(デリート)していた。
サマヨル:お見事です
バーキン:いい試合(スコア)だったろ?
サマヨル:最前列の特等席(VIPシート)で観戦できました
バーキン:仕事(ミート)するか?
サマヨル:ええ 最高の試合(グッドジョブ)の思い出に
場外へ特大の直撃(ホームラン)をお願いします
バーキン:一つ聞かせてくれ
サマヨル:質問は約束違反ですよ
バーキン:それでもだ
サマヨル:いいですよ
バーキン:この骸(クソ)は何だ?
サマヨル:答えを知らされていない質問です
バーキン:じゃあ、聞き方を変えよう
骸の身元抹消(ノック)したって事は照合に危険が孕む
危険の正体は?
サマヨル:答えがあると思いますか?
バーキン:質問してるのは こっちだアンタの番じゃない
サマヨル:答えが分かっていますね?
バーキン:だからよ 質問すんな
サマヨル:自分に自信がありますね?
バーキン:質問するなって云ってんだ!
サマヨル:怖いでしょ? ココが
バーキン:黙れ
サマヨル:じゃあ 教えてあげます
バーキン:云え
サマヨル:貴方の回答は間違っています
バーキン:止めろ
サマヨル:残念です答えは教えません
バーキン:オマエ 誰だ?
サマヨル:サマヨルです
バーキン:だから 何者だ?
サマヨル:今度は私の質問の番です
バーキン:答えろ! 何者だ?
サマヨル:どうして バットマンになりたいのですか?
バーキン:え?
サマヨル:銃を使わない理由を答えてください
バーキン:バットが一番使いやすい
サマヨル:銃の方が簡単に仕事できます
バーキン:人それぞれだ
サマヨル:違いますバットマンになった理由があります
バーキン:理由など無いバットの魅力だ
サマヨル:貴方はバットマンに憧れていた
本当はヒーローになりたかった
しかし 現実の自分の姿を本質的に知ってしまった
人より賢い貴方は 早熟期に世界を見渡すことができました
そのために 新しいバットマンを作り出すことしかできなかった
バーキン:オマエ 誰なんだ?
サマヨル:同士です
バーキン:ナメてんのか?
サマヨル:早く打ってください
バーキン:もういい…
サマヨル:楽園(グリーンランド)で待っています
 美しい打球(ホームラン)だ。
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7月2日 2:30am
ホラインズン・タワー建築現場にて。


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