◇“邦さん”と慕われ
林さんが大河ドラマの殺陣を担当することになったのは1965年放送の「太閤記」からで、半世紀以上にわたって殺陣師として大河ドラマに携わってきた。中川さんによると、林さんは「一つの作品をみんなで作るという思いが強かった」といい、出演者と密なコミュニケーションを取りながら、殺陣を演出していた。出演者からの信頼も厚く、“先生”と呼ばれることを嫌っていたことから、出演者やスタッフに“邦さん”と慕われていたという。
中川さんが林さんと出会ったのは1991年。「ザ・時代劇という感じで、見た目で圧倒された」と当時を振り返る。「真田丸」でも、その存在感に圧倒された視聴者も多かったようだが、中川さんは「(林さんが)厳しかった……という時代もあったようですが、私は優しく、楽しい人という印象が強い。何もしゃべっていない時も鼻歌を歌っていた」と意外な素顔を明かす。
