世代交替前进AKB总选举,NGT跃进的理由
今年で9回目となったAKB48グループの選抜総選挙が6月17日、沖縄県豊見城市で開かれた。開票イベントは悪天候のため、屋内会場で無観客で開かれた。AKBの49枚目のシングル曲を歌う選抜メンバー16人中、6人が初の選抜入り。目を引いたのが新潟市を本拠地とするNGT48の躍進だ。結成から2年の若いグループだが80位までに10人がランクイン。ここ数年のグループのテーマだった世代交代が一気に進んだ。
■シングル歌唱メンバーに3人
NGTは2015年に結成、今年4月に初のシングル「青春時計」でデビューした。今年は5位に荻野由佳さん、10位にキャプテンの北原里英さん、13位に本間日陽さんと3人がシングル曲を歌う選抜メンバーに名を連ねた。
地元新潟で開催した昨年の総選挙では北原さんの12位が最高。上位80位にランクインしたのは2人だった(兼務メンバー除く)。選抜の人数が開催年によって違うため単純比較はできないが、先輩姉妹グループが総選挙に参加して2年目の結果をみると、シングルを歌う選抜メンバー入りしたのはSKEが2人、NMBがゼロ、HKTが1人だった。NGTの躍進がいかにすごいことかが分かる
■楽曲選挙も1位
予兆はあった。今年の1月に開催された「リクエストアワー セットリストベスト100 2017」。ファンがグループの好きな楽曲に投票、順位を決めるいわば楽曲の総選挙だ。全グループの対象969曲の中から1位になったのがNGTの「Maxとき315号」だった。16年3月に発売したAKB48のシングル「君はメロディー」のカップリング曲。雪で覆われた新潟市内で撮影されたミュージックビデオも好評だった。当時はNGTのオリジナル曲が2曲しかなく、ファンの票が集中しやすかったという側面はあるだろう。だが、楽曲自体の評価も高く、1位となったことでNGTの認知度は一気に高まった。総選挙で躍進する下地は整っていた。
上武大学の田中秀臣教授は昨年1月に出版した「ご当地アイドルの経済学」(イースト新書)でNGTに注目していた。今回の結果について田中教授は「昨年、新潟で総選挙があった。この経済効果が最大25億円。全国から集まったファンが実際にNGTをみて認知度が上がった効果があった」と話す。
配信サービスの活用も大きく貢献したようだ。「中井りかさん(23位)に代表されるようにNGTの子たちは(仮想ライブ空間の配信アプリ)『SHOWROOM』を使うのが非常にうまい。大都市にいなくてもSHOWROOMを使うことで全国だけでなく、中国や台湾のファンの人たちの心をつかんだ」と田中教授は指摘する。
伝統的なPR手法にも抜かりがなかった。総選挙の直前、4月に発売したデビュー曲のリリースイベントはメンバーが分散して全国各地でキャンペーンを行った。荻野由佳さんは握手会の神対応が評判だ。「新潟は素朴で純粋な子が多い。土地柄に合ったすれていない、とても純朴な感じの女の子がすごくいい。正当派アイドルみたいなものを多く感じたファンが支持した」(田中教授)
NGTの今村悦朗劇場支配人はブログで「今回の総選挙はNGT48にとって大きな節目になりました。新潟を拠点に、その魅力をお伝えする活動を続けていくことにも何ら変わりはありません。おごることなく、また、“一から”です」と総括している。
■世代交代進む
2位の渡辺麻友さんがAKB48からの卒業を発表。過去8回、すべての総選挙でトップ5入りを果たしてきた。「やり残したことはない」と笑顔で話した。「結婚宣言」したメンバーがいるなどハプニングもあり総選挙の結果やグループの方向性への関心は散漫になった。それでも世代交代は進んでいく。
16位に入った吉田朱里さん(NMB)は動画投稿サイト「ユーチューブ」でユーチューバーとしての活動も目立つ。一番新しい姉妹グループSTUのキャプテンを兼務する9位の岡田奈々さん(AKB/STU)は「守りたいものができました。お手本となるようないい背中を見せたい」と話した。グループ総監督の横山由依さん(AKB)は7位に。「東京ドームコンサートをもう一度やりたい」と決意を述べた。4位の宮脇咲良さん(HKT/AKB)は「第1位は宮脇咲良です」と大胆に予言した。悪天候に邪魔されたイベントだが、「雨降って地固まる」となるか。48グループに新しい動きが広がる期待は持てそうだ。
総選挙の結果、1位は指原莉乃さん(HKT/STU)で2位に10万票近い差をつけての圧勝で3連覇を達成した。指原さんとともに、「最後の総選挙」としていた渡辺麻友さん(AKB)は2位、3位は松井珠理奈さん(SKE)で上位3人は昨年と同じ結果となった