TM NETWORK、globeのメンバーでもあり、数々のヒット作でプロデュースを手掛けた小室哲哉と、かつてはTM NETWORK(TMN)のサポートメンバーも務め、T.M.Revolutionのプロデューサーやaccessとしても活躍する浅倉大介が、ユニット・PANDORAを結成した。
90年代・00年代を代表するプロデューサー同士の2人。今回なぜこのタイミングでユニットが結成されたのか。両者に詳しく、小室へのインタビューも度々行っている音楽コンシェルジュのふくりゅう氏は、はじめに浅倉と小室の繋がりについてこう解説する。
「ちょうど30年前の1987年。小室さん率いるユニットTM NETWORKのコンサートで、シンセサイザーのマニュピレーターを担当していたのが当時19歳だった浅倉さんでした。小室さんは打ち込み(プログラミング)が日本一速いと噂された“デジタルボーイ”の浅倉さんの才能にいち早く注目しており、1990年にTM NETWORKがTMNへリニューアルした際には、ライブ経験のない浅倉さんをライブメンバーとしてシンセベースに抜擢したり、小室さんのお膳立てでデビューアルバム『LANDING TIMEMACHINE』(TMの楽曲をカバー)を1991年にリリースするなど、その関係性は深いです。その後、浅倉さんは自身のユニットaccessを結成、そしてT.M.Revolutionや藤井隆のプロデュースなどで90年代以降を代表する音楽プロデューサーとなりました。まさに師弟関係という言葉がふさわしいですね」
また、今回のユニット結成において、クレジット面から注目したいポイントがあるとふくりゅう氏は続ける。
「これまで数々のヒット曲を生み出してきた小室さんのプロデュース・ワークの凄さとしてわかりやすいのが、作詞作曲編曲をひとりで手がけてきたことです。しかし、今回結成したユニット・PANDORAでは、浅倉さんとの共作で作詞作曲編曲をしている点に注目したいです。才能が掛け合わされることでのシナジー効果はもちろん、TKサウンドを誰よりも知る浅倉大介さんによる、ルーツに根ざした“再構築”という側面が見られそうですね」
先日にはBeverlyをゲストボーカリストに迎えた新曲「Be The One」を発表したPANDORA。この楽曲やボーカル選定について、同氏は小室の手掛ける以前のプロジェクトと比較して話してくれた。
「かつてYOSHIKIさんとユニット・V2を組んでいたこともある小室さんですが、当時はボーカルも担当していました。しかし、今回はユニットとしての特性を活かすために、アリアナ・グランデ東京公演のサポートアクトを務めた話題の歌姫・Beverlyをボーカリストに起用しています。新曲『Be The One』は46年目を迎える仮面ライダー・シリーズの最新作『仮面ライダービルド』の主題歌として幅広い世代に聴かれるであろう楽曲で、今年3月に小室さんがリリースしたソロアルバム『JOBS♯1』内の『HERE WITHOUT YOU』をベースとしたであろうメロディアスで起伏のある展開を、見事なハイトーン・ボイスで表現しています。ドラマティックな旋律はglobeを彷彿させてくれました」
最後に、ふくりゅう氏は小室が発表した「今の音楽シーンはジャンルがどうとか、形態がどうとか関係ない状況にあります。テクノロジーの進化により環境に合わせて、データを創ることが可能になりました」というコメントから、PANDORAがシーンにもたらすであろう影響について述べた。
「音楽シーンは不況と呼ばれがちですが、音楽とは中身も流通も流動的な価値観を持つエンターテインメントで、時代とテクノロジーの進化に応じて適正化が進んできました。レコード〜カセット〜CD〜MD〜配信〜ハイレゾ〜サブスクリプション時代を乗り越え、30年目にしてはじめてユニット結成へと至った音楽家TK(小室哲哉)&DA(浅倉大介)によるふたり。音楽の魔法、シンセサイザーから生み出される何が飛び出るかわからない底知れぬPANDRA=“箱”の可能性に注目したいです」
2人のプロデューサーがこれまでの経験をアップデートしながら、新たな才能とともに楽曲を届けるというPANDORA。今後の作品やボーカリスト、そして彼らによる音楽のあり方への問題提起にも注目したい。
(文=中村拓海)
90年代・00年代を代表するプロデューサー同士の2人。今回なぜこのタイミングでユニットが結成されたのか。両者に詳しく、小室へのインタビューも度々行っている音楽コンシェルジュのふくりゅう氏は、はじめに浅倉と小室の繋がりについてこう解説する。
「ちょうど30年前の1987年。小室さん率いるユニットTM NETWORKのコンサートで、シンセサイザーのマニュピレーターを担当していたのが当時19歳だった浅倉さんでした。小室さんは打ち込み(プログラミング)が日本一速いと噂された“デジタルボーイ”の浅倉さんの才能にいち早く注目しており、1990年にTM NETWORKがTMNへリニューアルした際には、ライブ経験のない浅倉さんをライブメンバーとしてシンセベースに抜擢したり、小室さんのお膳立てでデビューアルバム『LANDING TIMEMACHINE』(TMの楽曲をカバー)を1991年にリリースするなど、その関係性は深いです。その後、浅倉さんは自身のユニットaccessを結成、そしてT.M.Revolutionや藤井隆のプロデュースなどで90年代以降を代表する音楽プロデューサーとなりました。まさに師弟関係という言葉がふさわしいですね」
また、今回のユニット結成において、クレジット面から注目したいポイントがあるとふくりゅう氏は続ける。
「これまで数々のヒット曲を生み出してきた小室さんのプロデュース・ワークの凄さとしてわかりやすいのが、作詞作曲編曲をひとりで手がけてきたことです。しかし、今回結成したユニット・PANDORAでは、浅倉さんとの共作で作詞作曲編曲をしている点に注目したいです。才能が掛け合わされることでのシナジー効果はもちろん、TKサウンドを誰よりも知る浅倉大介さんによる、ルーツに根ざした“再構築”という側面が見られそうですね」
先日にはBeverlyをゲストボーカリストに迎えた新曲「Be The One」を発表したPANDORA。この楽曲やボーカル選定について、同氏は小室の手掛ける以前のプロジェクトと比較して話してくれた。
「かつてYOSHIKIさんとユニット・V2を組んでいたこともある小室さんですが、当時はボーカルも担当していました。しかし、今回はユニットとしての特性を活かすために、アリアナ・グランデ東京公演のサポートアクトを務めた話題の歌姫・Beverlyをボーカリストに起用しています。新曲『Be The One』は46年目を迎える仮面ライダー・シリーズの最新作『仮面ライダービルド』の主題歌として幅広い世代に聴かれるであろう楽曲で、今年3月に小室さんがリリースしたソロアルバム『JOBS♯1』内の『HERE WITHOUT YOU』をベースとしたであろうメロディアスで起伏のある展開を、見事なハイトーン・ボイスで表現しています。ドラマティックな旋律はglobeを彷彿させてくれました」
最後に、ふくりゅう氏は小室が発表した「今の音楽シーンはジャンルがどうとか、形態がどうとか関係ない状況にあります。テクノロジーの進化により環境に合わせて、データを創ることが可能になりました」というコメントから、PANDORAがシーンにもたらすであろう影響について述べた。
「音楽シーンは不況と呼ばれがちですが、音楽とは中身も流通も流動的な価値観を持つエンターテインメントで、時代とテクノロジーの進化に応じて適正化が進んできました。レコード〜カセット〜CD〜MD〜配信〜ハイレゾ〜サブスクリプション時代を乗り越え、30年目にしてはじめてユニット結成へと至った音楽家TK(小室哲哉)&DA(浅倉大介)によるふたり。音楽の魔法、シンセサイザーから生み出される何が飛び出るかわからない底知れぬPANDRA=“箱”の可能性に注目したいです」
2人のプロデューサーがこれまでの経験をアップデートしながら、新たな才能とともに楽曲を届けるというPANDORA。今後の作品やボーカリスト、そして彼らによる音楽のあり方への問題提起にも注目したい。
(文=中村拓海)